「園長あいさつ」

 当園は1965(昭和40)年6月20日に開園致しました。以来この大分の地で長い間保育をさせていただいております(当HP「園の歴史」参照)。これもひとえに在園児やその保護者の皆様、また多くの卒園児やその保護者の皆様、そしてこれまでの歴史をつくってくださった先輩職員の皆様のおかげと只々感謝申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。

 当園の子どもたちは、大分市中心部に程近い大分川の自然豊かで清澄な環境のもと、ふたばこども園の「ふたば」の名の由来「どんな立派な大樹でもはじめは小さなふたばの芽」という言葉にあるように園庭のたくさんの大きな木々や花やそれに集まる鳥や虫たちとともに毎日のびのびと遊んでいます(当HP「園の一年」参照)。

 当園の保育は、保育者をはじめとする職員皆が子どもたちを母親のように優しく見守る(当 HP「理念・方針『保育信条』」参照)中、子どもが安心感に包まれながらいろいろなものに縛られることなく自由な感覚をもち自分らしく主体性を発揮しながら生活していけることを目指しています。ですから、子どもたちは毎日自分のしたい遊びを自ら決めて、遊びます(当HP「保育の特色」参照)。そのような中に子どもがあるからこそ、子どもたちは健やかに成長していくと思っています。

 しかしながら、当園が上記のような保育に移行したのは最近のことです。

 まずもって、この保育に移行するにあたって今も多くの全国の保育園や幼稚園、認定こども園の先生方や保育・幼児教育を研究されている大学の先生、その他子どもの環境や保育に携わっている先生皆様から幼児期の教育や原理、環境などについて温かいご指導を頂いていることに心から感謝申し上げます。

 現代の子どもや若者は主体性に欠けていると指摘されている昨今です。このような状況を打破していくために幼児期においては子ども自らが意欲をもち主体的に遊ぶことを保障することによって将来に向けて意欲や主体性溢れた人間として育つことを私たちは願っています。

 当園での子どもたちの姿をみると、一言で言うと実に「能動的」です。幼稚園教育要領には幼児にとって遊びが学習であること、だたしその遊びは自発的であることが示されています。つまり自発的な遊びでなければ幼児にとって遊びは学習となり難いということです。それを踏まえ、当園では子ども自らが自分でしたい遊びを決めて遊んでいきます。

 私はこれまで、子どもが真にやりたいと思ってはじめた遊びには困難がつきまとうということを見てきました。例えば5歳児さんでは、園庭にトンネルを掘って水を流そうとするけどうまくいかない、2歳児さんでは、ペットボルからペットボトルに水を移し替えようとするけれどうまくいかないといった具合に。そのときに5歳児さんは、おともだちと協力したり知恵を出し合ったりしながらトンネルに水を通そうとする姿がありました。2歳児さんは真剣な表情でまだ難しいであろう手と手をそっと動かしてペットボトルの水を移し替えようとする姿がありました。これらはやらされているのではなく、自らやりたいと思っているから真剣にやっています。だから楽しいとも言えます。

 遊びを通して学ぶこととは、単なる知識ではなく、自分の知識、知恵を使って目の前の困難や課題を自分の力で克服したり、またおともだちと協力することによって克服したりする、いわば「生きる力」の基礎となるようなものを培っていると信じています。

 それでは子どもが自発的に遊んでいる間、保育者は何をしているのかというと、している遊びのどこに子どもが関心を向けているのか見守ったり、遊びが滞っているときなどには一緒にお手伝いをしたり、その遊びの中で何を培っているかなど教育的意味をよみとったりしています。そしてこの遊びから、次にどのような学びにつなげたいかなど考え、保育や教育の計画を立てていきます。

 しかし、これらは計画を綿密に立てていかなければうまくいきません。その難しさをまざまざと感じています。それがうまくいくためにはまだまだ至らないことも多く、私たちは一層努力していかなければならないと思っています。

 私の尊敬する多くの先生の中のお一人に、教育哲学者の林竹二先生という先生がおられます。先生は著書「問いつづけて-教育とは何だろうか-」の中で「どの子もみんな学びたがっている」とおっしゃっています。林先生は大学の先生でしたが全国の小中高校を周り、子どもの欲求に応える、子どもが主体の授業をされていました。主体とは子どもが自分で問題を見つけて追いかける学習と先生はおっしゃっています。林先生の授業「人間とは何か」では、子どもたちが自分の経験や知識、そして何より自分の内面に向き合い真剣に考える姿があります。

 幼児期に携わる私たちにとって、こども園での遊びや生活を通して「生きる」ことに真剣に向き合うことの楽しさを体感できるよう、子どもが活き活きと健やかに成長していけるようふたばの子どもたちのために一生懸命努力してまいりたいと心から思っています。

ふたばこども園 園長 吉田 茂

ページトップ
ページトップ
学童クラブふたばっこ
学童クラブふたばっこ